ハイドロゲル製の「ルービックキューブ」。ヘルスモニターやストレージへの応用目指す

テキサス大学と香港科技大学の共同研究チームは、ハイドロゲルの立方体27個からなる立体パズル状の構造を開発したと発表しました。 自己修復ハイドロゲルと呼ばれる高分子材料で作られたこの立体構造は、個々の立方体の各面にそれぞれ異なる色を定着させており、相互に緩く結合していることから、実際に立体パズル、いわゆる「ルービックキューブ」のように遊ぶことができます。 ただし、この立体構造は個々の立方体が新たな化学結合を形成した後、24時間後に強く固定され、それ以後はパズルを遊べなくなります。 ハイドロゲルによってこうした構造を作ったことは、何もスクイーズのようなぐにゃぐにゃの立体パズルを遊ぶためだけではありません。ある種の情報を保存、あるいは表示する媒体を作る目的もありました。 この研究の目指すところは、柔らかい素材で作られた"スマートタイル"を作ること。研究チームの一人であるJonathan Sessler氏によると、"スマートタイル"は例えば人間の皮膚に置いた際、色を変えることによって血糖値などの医療情報を表示するセンサーとして動作したり、色と構造の組み合わせ(3×3×3であれば約4325京通り)によってQRコードのように情報を保存・表示することができるとしており、今回、立体パズルのような形の構造を作ったことは「色のパターンと三次元構造によって情報をエンコードする方法」を模索する中でできた一つの形なのだといいます。 研究チームが抱えていたいくつかの課題は、立体パズル構造を構成するハイドロゲル立方体の各面に色を定着させることと、立体パズル構造の配列を手で変えられるように結合を弱くする一方で、構造全体の形が崩れない程度の強度を確保することでした。 今回の発表は、それらを両立させて立体構造を作れる、という経過を報告するもの。それは特定用途のアプリケーションとして動作させる前提条件の一つです。自己修復ハイドロゲルは医療向けの生体材料として広く研究されている素材ですが、特に注目されているのは、人間の生体組織に類似した性質の部分。生体親和性を持った情報の記録・表示媒体としてのアプローチは目新しく、研究について今後の展望が期待されます。