2017年ネット振り返り DMCAテイクダウンによる削除申請の悪用とは:ネットウォッチャー炎上日記

誤った内容の医療情報が大量に掲載されていたことで、健康被害の危険性が問題視され閉鎖することになったDeNAのWELQ。2017年のネットウォッチはそんな騒動の話題が収まらないうちに始まりました。 アサヒカメラ2月号では「賠償&削除マニュアル」という、ネットで写真が盗用された時のために使用料を請求したり掲載を取り下げたりするための手順について解説し、写真家の間で話題になりました。 また、大阪の無関係の個人企業が、流行語を「商標出願」していたことも問題視されました。 法律や手続きなどの世の中には煩雑な約束ごとがあり、正当な人が知識不足で利用しにくい一方、仕組みを熟知した悪質な人が不当な利益を得ようと悪用することが残念ながらよくあります。 また、2017年は、検索エンジンのグーグル社に対し、逮捕歴のある男性が裁判を起こし、最高裁が削除基準の判断を出した年でもあります。当時の記事を検索されることで、いつまでも実名が検索結果に出てくるのはプライバシー保護の観点から問題ありとされたのです。 一連のできごとからわかるのは、インターネットは言論の自由というタテマエだけでは済まされない、実質的なパクリ被害や迷惑行為などが野放しになっているのが現状だということです。価値観が対立している場合、簡単には万人にとってプライバシー保護の面で白や黒だとは判定できません(ブラック企業の違法行為の告発など、公益性がある主張もあります)。 8月、ウォンテッドリー株式会社のマザーズ上場IPOに関し、ブログで批判記事が書かれました。主張内容の是非については触れませんが、特にプライバシー侵害や名誉毀損の記述などは無い、言論の自由の範囲内の記事でした(嫌がらせのような悪質なものとは言えないが、軽くケチをつける悪趣味な記事だと感じる読者は多いかもしれません)。 関連サイト: Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察 そして8月25日、GoogleとTwitterに対しDMCAテイクダウンによる削除申請がウォンテッドリー社から出されます(記事執筆者に写真を削除しろという連絡はなかったそうです)。 DMCAテイクダウンは写真や映画などの著作物を違法コピーされた権利者が、その権利を早急に守るために、とりあえずネット上から検索結果に引っかからないようにしてもらうためのシステムです。違法コピーで不当な利益を得ようとする悪徳業者は次から次に出現しますので、弱者とも言える権利被害者を救済するための仕組みと言えます。 客観的には、自社サイトで公開されていて顔出しで名前を売り出している代表取締役社長の顔写真を、その会社の株式上場の話題を書いただけの記事に表示しても、権利を侵害しているとは思えません。アメリカの事例であればフェアユースとして合法になる使用法です。 また、どうしても批判記事に顔写真を使われたくないのであれば、執筆者に削除を申し立てるということもできます。 本来、弱者救済のためのシステムと言えるDMCAテイクダウンですが、この都合の悪い記事を検索結果から除外するため、揚げ足を取るような申請があったと判断されました。 これに対しウォンテッドリー社は、あくまでも記事内の仲暁子社長の顔写真が著作権を侵害しているので削除申請を出したというタテマエを崩していません。 関連サイト: 当社が行った著作権侵害による削除申請につきまして この騒動で批判記事からは顔写真が取り除かれ、検索結果にも出るように戻りました。 被害救済のための仕組みは、ある程度の性善説で運営せざるを得ません。権利侵害を受けている弱者にあまりにも厳密な手続きを要求するのでは、救済の目的が果たせなくなるからです。 しかし、その性善説に付け込んで、自社に都合の悪い情報が検閲されるのを狙って申請されるDMCAテイクダウンの悪用は絶えません。 その悪用を防ぐ、うまい方法は「ない」のが実情です。 ただ、DMCAテイクダウンの申請は公開されていますので、たくさんの目で検証して、悪用を見つけたら話題に取り上げることで減らすことは可能かと思います。 関連サイト: ウォンテッドリー社の悪評隠蔽事例 関連記事: 記事広告のタイトルに【PR】表記するかしないか論争