来年のiPhone用? IntelがCDMA対応モデムを発表。5G商用製品は19年半ばに登場の見通し

半導体メーカーのIntelは、同社初の商用5GモデムとなるXMM8000シリーズを発表し、その最初の製品であるXMM8060が2019年の半ばまでに商用製品に採用され市場に投入される見通しであることを明らかにした。また、同社のLTEモデムの最新製品であるXMM7560(今年のMWCで発表済み)が、従来からサポートしてきたLTEとW-CDMAだけでなく、CDMAにも対応したことを明らかにした。 このXMM7560、そして5GのXMM8060ともに、iPhoneのモデムチップとして採用される可能性が高い製品となる。現行のiPhone 8/8 Plus/XにはモデルによってQualcommないしはIntelのモデムが搭載されているが、AppleとQualcommの関係は急速に悪化しており、それを受けて来年のモデルからはIntel製モデムに一本化される可能性があるからだ。来年の製品に搭載されるXMM7560がCDMAに対応することのアナウンスは、そのことを裏付けているのかもしれない。 ●5Gに対応した商用向けセルラーモデムとなるXMM8060を発表 Intelは近年携帯電話回線用モデム(以下セルラーモデム)チップビジネスに力を入れている。セルラーモデムは、スマートフォンやタブレット、PCなどにSIMカードを入れて通信するのに必要なチップで、モバイル機器にはもはや必須のチップと言ってよい。 現在のセルラーモデム市場は、Qualcommが50%を越えるシェアを持っており、Qualcommが圧倒的強い市場になっている。そこで、Intelはその牙城を崩すべくXMM7000シリーズというLTEモデムの最新製品をここ数年で矢継ぎ早に投入しており、打倒Qualcommを目指している。 Intelにとって大きなチャンスとなるのは、携帯電話の次世代通信規格"5G"(ファイブジー)が導入されるタイミングだ。5Gは、携帯電話の通信規格を話し合う国際会議3GPP(スリージーピーピー)で策定が進められており、今年の末には5GNR(ファイブジーエヌアール)として商用に向けた規定が決まる見通しだ。Intelはこの5Gに向けて取り組みを進めており、基地局側のインフラを含めて開発キットを世界各地の通信キャリアなどに提供しており、日本でもNTTドコモなどと商用化に向けた実証実験を行っている。 ▲Intelが発表したXMM8060、マルチモードの5GNRに対応して2G/3G/4Gとの下位互換性も実現(出典:Intel Corporation) 今回Intelが発表したのは、その5G対応セルラーモデムチップ。製品のシリーズ名称はXMM8000シリーズと命名されており、その最初の製品がXMM8060となる。5GNRで規定される、NSA(Non-StandAlone、LTEとの併用を意識した仕様)、SA(StandAlone、5G単体で動く仕様)という2つの仕様に対応しており、5Gの2つの周波数帯(6GHz以下とミリ波)だけでなく、2G/4G/3Gとの下位互換性を維持したマルチモードにも対応している。マルチモードに対応していることで、5Gが使えるエリアだけでなく、LTEや3Gといった従来のネットワークエリアでも使えるデバイスを作ることが可能になる。 Intelによれば、XMM8060を搭載した商用製品(スマートフォンやタブレットなど)は、2019年の半ば頃の出荷になると予想しているとのこと。再来年の今頃には5Gに対応したスマートフォンやタブレットが市場に登場している可能性があるということになる。 ●XMM7560のCDMA対応が追加発表、18年のiPhoneに搭載か もう1つの注目は、Intelが今年の2月のMWCで発表したLTEモデムの新製品XMM7560に関するアップデートだ。XMM7560はギガビットLTEと呼ばれる1Gbpsの通信速度に対応したLTE対応セルラーモデムとして発表されていたが、今回IntelはこのXMM7560がCDMAに対応していることを明らかにした。 CDMAとは、3Gの通信方式の1つで、日本ではauが3G時代の通信方式として利用していた。もう1つがW-CDMAで、こちらはNTTドコモやソフトバンクなどが利用していた方式となる。実はこれまでのIntelのセルラーモデムは、CDMA未対応で、それがiPhoneのセルラーモデムのチョイスにも影響を与えていた。 ▲XMM7560でCDMAに対応することを発表(出典:Intel Corporation) 現在のiPhone 8/8 Plus/Xに採用されているモデムチップは、QualcommのSnapdragon X16 modemとIntelのXMM7480の2系統があり、米国ではCDMAをサポートする必要がある3G時代にCDMAを利用していた。 Verizon/Sprint向けにはQualcomm Snapdragon x16 modemが搭載されており、そのほかの3G時代にW-CDMAを利用していたAT&T Wireless/T-MOBILE向けにはIntelのXMM7480と見られるチップを採用している(なお、日本ではCDMAに対応したQualcomm Snapdragon x16 modemが採用されているが、auは3G回線をiPhone 8などでは利用していない)。 問題はAppleとQualcommの関係が急速に悪化していることだ。10月31日付けのWall Street Journalの報道によれば、特許料の支払いなどで両社が対立していることを受け、Appleは2018年モデルの製品からQualcommを使わないことを検討しているいう。仮にそれが事実であれば、Verizon/SprintなどCDMAとの下位互換性が必要な通信キャリア向けモデルで困ってしまうことになるため、どのような扱いになるのかが注目されていた。今回Intelが来年投入するXMM7560でCDMAとの互換性を下位追加したことは、前述の報道を裏付けていると考えることができるだろう。 なお、日本向けの製品に関しては、通信キャリア側の要求でQualcommのモデムを搭載したモデルが投入されているという事情もあり、そこがどうなるのかは引き続き不透明だが、仮にそこもIntelになるようであれば、Qualcommにとっては大打撃、Intelにとっては大勝利となるだろう。 ▲2019年に商用製品が登場するXMM7660、カテゴリー19のLTE-Aに対応し1.6Gbpsの下り通信速度を実現(出典:Intel Corporation) ▲Intelの通信チップロードマップ、2019年にはXMM7660、XMM8060が登場する(出典:Intel Corporation) その延長線上にあるのが、2019年半ばまでに搭載商用製品が登場する5GモデムのXMM8060、そして今回同時に発表され2019年に商用製品搭載が予定されているLTEで1.6Gbps(下り)を実現するXMM7660。このどちらかが2019年のiPhoneに搭載されるという可能性が高まってくるだけに、こちらもスマートフォンユーザーにとっては要注目ということになる。