GoogleのDNS暗号化サポートは独占禁止法違反との訴え

日本では海賊版サイトのブロッキングなどで認知度の上がったDNS。GoogleはこのDNSのトラフィックをよりセキュアなものにするため、Chromeブラウザーユーザーの一部で、暗号化のテストを実施する予定です。しかし、Googleのこの動きに対し、米下院司法委員会がDNSへのアクセスを独占することで、不当な優位性を獲得するのではないかとして、調査を行っているようです。 Googleが採用しようとしているのは、DNS over TLS(DoT)というプロトコル。Google独自のものではなく、2016年にRFC7858として標準化されているものです。 インターネットの電話帳とも言われるDNSは、例えば「engadget.com」のようなドメインをIPアドレスに変換し、そのサイトに接続できるようにするもの。このトラフィックはISPなどから覗くことができ、誰がどのサイトにアクセス使用しているのかを把握可能です。また、悪意のある攻撃者によりトラフィック化が改ざんされ、偽のIPアドレス(偽のサイト)に誘導されるDNSハイジャックのような問題も出ています。 これらの問題に対処するために標準化されたのが、DNSトラフィックの暗号化です。これを利用するにはDNSサーバー側だけではなく、クライアントも対応する必要がありますが、Android 9(Pie)はすでに対応済み。またサーバー側ではGoogleのパブリックDNS(8.8.8.8)やCloudflare(1.1.1.1)が対応しているほか、ブラウザではGoogle以外にも、MozillaがFirefoxでのサポートを計画しています。 ユーザー側からすれば、DNSを(ひいてはインターネットを)より安全に利用でき、反対する理由はなさそうですが、そうではない人々もいます。それがISPなど、トラフィックデータを使って利益を得る(得ようとしている)企業です。暗号化されてしまうと、データを取得できなくなるわけです。 このため米ISPの連合は、GoogleがDNSの暗号化を採用すると、そのデータを独占でき、広告やその他業界での競争を阻害するとして、米議会に提訴。ChromeとAndroidの標準機能として、DNSの暗号化を採用しないよう求めているとのことです。 この動きに対してGoogleは、デフォルトで(DoTの使える)GoogleのDNSを標準化するような計画はなく、主張は不正確だとの声明を発表。MozillaのシニアディレクターMarshall Erwin氏も「まったくの誤解だ」と反論。DNSデータへの継続的なアクセスを確保するため、新しい標準を弱体化させようとしていると非難しています。 新しい技術が出てくると、それまでの利益構造が大きく変わるのは、どの業界でも起こること。企業利益のために新しい標準技術を潰すようなことはせず、変革に柔軟に対応する姿勢を示してほしいところです。